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「ガスは高い」。私はずっとそう思っていました。だから冬の暖房はエアコンがメインで、ガスファンヒーターは朝だけつける。節約のつもりでした。
その節約は、間違っていました。2023年1月、電気代は26,027円に跳ね上がりました。翌年、暖房をファンヒーター中心に替えたら、真冬の光熱費は2ヶ月で約3,800円下がりました。
この記事は、ガスファンヒーターとエアコンのどっちが安いのかを、4冬分の検針票で確かめた記録です。分かれ目は、電気の使用量が月300kWhを超えるかどうか。あなたの家がどっちなのかも、この記事で分かります。
うちは都市ガスの戸建てで、プロパンガスとは単価が違うことをお断りしておきます。後半には、「電気 vs ガス、どっちが得か」がかんたんに分かる判定式も載せています。
結論:ガスに替えたら2ヶ月で3,800円下がった
先に結論です。うちは冬の暖房をエアコン中心からガスファンヒーター中心に替えて、真冬の光熱費が2ヶ月で約3,800円下がりました。
ただ、どっちが安いかは家によって違います。
うちの場合、効果が大きくなったポイントは2つあります。
- 1ヶ月の電気の使用量が月300kWhを超える(3段料金が適用されている)
- エアコンの性能が低い(COPが2.7以下)
逆に、冬でも300kWhに収まる家や、新しい省エネエアコンの家は、エアコンの方が安くなりやすいです。
うちは、この2つとも当てはまる家でした。だから、細かい節電を積み重ねるより、暖房をまるごとガスに切り替える方が大きく下がる。しかも快適さはそのままです。詳しい数字は、ここから順番に紹介していきます。
ちなみに、ガス会社と電力会社の比較ページは結論が逆です。理由は、試算に使う単価が違うから。当然のことですが、自分に有利な数字を使っています。だからこの記事は、「実際にどうなのか」が分かるように、全部わが家の実額で書きます。
電気は使うほど高く、ガスは使うほど安い
なぜガスに替えただけで下がるのか。
理由の1つは料金体系です。
実は、電気とガスは、単価の動き方が正反対でした。

電気は、使うほど単価が上がる
わが家の電気は中部電力ミライズのおとくプランです。このプラン、電気料金の単価は3段階制。使う量が増えるほど、単価は高くなります。
特に300kWhを超える「3段料金」は最も高く、単価は1kWhあたり約28.6円です。
▼ 電気の単価表を見る(出典:カテエネ)
| 区分 | 単位 | 料金単価(円・税込) | |
|---|---|---|---|
| 電力量料金 | 最初の120kWhまで | 1kWhにつき | 21.20 |
| 120kWhをこえ300kWhまで | 25.67 | ||
| 300kWhをこえる | 28.62 | ||
普段から多く電気を使う家庭では、冬にエアコン暖房を使うと、全部この一番高い単価で電気を買うことになります。
ガスは、使うほど単価が下がる
わが家のガスは中部電力ミライズのカテエネガスプラン2です。ガス料金の単価も3段階制。しかし、使う量が増えるほど、単価は安くなります。電気料金とは真逆の仕組みです。
▼ ガスの単価表を見る(出典:カテエネ)
| 適用区分 | 1ヶ月のご使用量 | 従量料金単価(円/m3) 基準単位料金 |
|---|---|---|
| A | 0m3~20m3 | 162.16 |
| B | 21m3~70m3 | 150.55 |
| C | 71m3~ | 126.73 |
原料費調整により各月の単価は変動します。
つまり、冬に暖房でたくさんエネルギーを使う場合、電気は割高になり、ガスは割安になる。この仕組みを知らずに信じていた「エアコン暖房は安い」が、そもそもの間違いでした。
間違った節約で、電気代が跳ね上がった話
2023年、電気代が跳ね上がった

2023年1月、電気代の請求が跳ね上がりました。
26,027円。
当時は燃料高騰も重なっていましたが、それにしても高い。
何かの間違いでは……?
明細を開いて、原因を探しました。
犯人は「3段料金」でした。
3段料金とは、300kWhを超えた電気に適用される、最も割高な単価です。単価は1段目の135%です。
当時の使用量は592kWh。使用量の半分(292kWh)を一番高い単価で買ってしまっていたことになります。
暖房なしの季節は3段料金にならなかった
本当にエアコン暖房が原因なのか。比較のために、暖房を使わない秋(11月分)も並べておきます。
| 請求月分 | 使用量(日数) | 3段料金 |
|---|---|---|
| 2023年11月 | 196kWh(30日) | なし |
| 2024年11月 | 291kWh(34日) | なし |
| 2025年11月 | 380kWh(33日) | 2,364円 |
ご覧のとおり、秋は3段料金に届くほど電気を使っていません。
2025年は、残暑のせいで秋でもエアコン冷房を入れていたため、300kWhを超えて3段料金になっています。
暖房をファンヒーターに替えたら、2ヶ月で約3,800円下がった
これでは家計がまずい……
翌2024年の冬から、1階のLDKの暖房を、ファンヒーター中心に変えました。
その結果、ガスは90㎥から136㎥へ+50%増えました。一方の電気は1,060kWhから735kWhへ-30%減りました。
今の電力単価を当てはめると、増えたガス代より、消えた3段の電気代の方が大きい。1〜2月の真冬2ヶ月で約3,800円、光熱費が下がった計算です。
| エアコン中心 2023年1〜2月 | ファンヒーター 2024年1〜2月 | |
|---|---|---|
| 電気 | 1,060kWh | 735kWh |
| ガス | 90㎥ | 136㎥ |
| 光熱費(今の単価で試算) | 約50,600円 | 約46,800円 |
▼ 実際の請求額の推移(4冬分・参考)
参考までに、実際の請求額も載せます。単価は燃料費調整や国の補助金で、年ごとに大きく違います。先ほどの表を「今の単価」でそろえて計算したのは、この単価変動の影響を取り除いて、純粋に使い方の差を比べるためです。
| 請求月分 | 暖房 | 電気使用量 | 電気料金 | (うち3段料金) | ガス使用量 | ガス単価(区分) | ガス料金 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023年1月 | エアコン中心 | 592kWh(34日) | 26,027円 | 11,901円 | 40㎥ | 202.31円(B) | 9,082円 |
| 2023年2月 | エアコン中心 | 468kWh(28日) | 17,367円 | 5,706円 | 50㎥ | 210.69円(B) | 11,475円 |
| 2024年1月 | ファンヒーター | 387kWh(32日) | 10,083円 | 2,413円 | 61㎥ | 139.82円(B) | 9,509円 |
| 2024年2月 | ファンヒーター | 348kWh(28日) | 9,125円 | 1,340円 | 75㎥ | 117.07円(C) | 11,389円 |
| 2025年1月 | ファンヒーター | 438kWh(32日) | 15,115円 | 4,271円 | 55㎥ | 159.99円(B) | 9,775円 |
| 2025年2月 | ファンヒーター | 454kWh(30日) | 14,540円 | 4,384円 | 85㎥ | 134.74円(C) | 14,009円 |
| 2026年1月 | ファンヒーター | 392kWh(35日) | 11,994円 | 2,705円 | 60㎥ | 151.26円(B) | 10,045円 |
| 2026年2月 | ファンヒーター | 371kWh(27日) | 9,676円 | 1,767円 | 92㎥ | 126.46円(C) | 14,186円 |
実額では、2023年1月の合計35,109円が2024年1月は19,592円になり、15,517円下がりました。ただし、このうち約12,000円は単価自体の値下がりです。ファンヒーターに替えた節約効果は、1月分で約3,500円(ガス+3,200円・電気−6,700円)、2月分はガスの使用量が増えて基本料金の帯が上がる分もあり、約300円にとどまります。真冬の節約効果は、2ヶ月分合わせて約3,800円が、この記事の結論の数字です。
暖房を使わない時期(12月分=10〜11月使用)のガスは23〜29㎥で5,000〜6,000円ほど。最新の冬では、真冬ピーク92㎥・14,186円との差し引き63㎥・8,263円が、本文の「暖房代は月8,000円」の根拠です(本文の60㎥・8,000円は、これを控えめに丸めた値です)。
2024年以降はファンヒーター中心の使い方に変えてもなお、真冬は常に3段料金の領域に入っています。ファンヒーターがあるのはLDKだけで、2階の寝室や子供部屋はエアコン暖房のままだからです。
それでも3段料金は、エアコン中心だった2023年1月の11,901円をピークに、ファンヒーターに替えてからは大きく下がっています。
補足になりますが、光熱費の補填として、ふるさと納税を電気代に充てたことがあります。その実録は別の記事にしていますので、興味がある方はぜひ。
ガスファンヒーターのガス代は月8千円台
では、ファンヒーターの暖房代はいくらなのか。わが家の明細から出します。
うちはお湯もコンロも都市ガスで、ファンヒーターを使わない時期の使用量が給湯とコンロの分。そこからの増え幅が暖房代です。
暖房を使い始める直前、12月分のガス代は月6,000円。真冬のピークは14,000円まで増えます。差し引きの月8,000円が、ほぼファンヒーターの暖房代です。
エアコンとファンヒーター、どっちが得?
先に、わが家の結論から。冬の暖房を光熱費の安い順に並べると、こうなりました。
ガスファンヒーター < エアコン暖房 << 電気ストーブ
ガスファンヒーターとエアコンの順番は、エアコンの効率(COP)しだいで入れ替わります。うちは前のエアコンの効率が低く、ファンヒーターの勝ちでした。電気ストーブはダントツの最下位。同じ熱を作るのにガスの2.7倍の光熱費がかかる「電気代おばけ」です。

同じ熱をエアコンで作ると、いくらか
ファンヒーターの暖房代は、月8,000円ほど。同じ暖かさをエアコンで作ると、いくらになるのか。
それは、エアコンの効率しだいです。エアコンの効率は「COP」という数字で表されます。使った電気の何倍の熱を作れるか、という意味です。このCOPを使って、うちの暖房1ヶ月分の熱(ガス60㎥=約750kWh分)で計算すると、こうなります。
▼ 計算の中身(この表の作り方)
暖房分のガス=60㎥。都市ガスの発熱量=1㎥あたり45MJ。
1kWh=3.6MJなので、45MJ×60㎥÷3.6=750kWh。なお45MJは総発熱量で、実際に暖房に使える熱は1割ほど少なめ。その分を含めると、分かれ目は2.4〜2.8の幅を持ちます。
表の電気代は、750kWh÷COP×3段単価28.6円で計算しました。
| COP | 消費電力量 | 月の電気代 |
|---|---|---|
| 5 | 150kWh | 約4,300円 |
| 4 | 188kWh | 約5,400円 |
| 3 | 250kWh | 約7,200円 |
| 2.7(分かれ目) | 278kWh | 約8,000円=ファンヒーターと同額 |
| 2 | 375kWh | 約10,700円 |
| 1 | 750kWh | 約21,500円 |
COP1は電気ストーブと同じです。電気をそのまま熱に変えるだけなので、もしファンヒーターの代わりに電気ストーブを使った場合、電気代は月2万円を超えます。
COPが上がるほど少ない電気で済みます。わが家の場合、COP2.7を超えると、ファンヒーターの月8,000円より安くなります。ここがうちの分かれ目でした。
じつはガスに切り替える前の私は、「エアコンは使うエネルギーの3〜5倍の熱を作れるから、エアコンの方が当然安い」と思い込んでいました。
落とし穴は電気の単価です。
同じ1kWhのエネルギーの値段が、ガスは約11円(暖房代8,000円÷750kWh。基本料金まで入れた実質)、電気の3段料金は28.6円と、その差は約2.7倍。
つまり、エアコンはCOP2.7の効率で、やっとガスと互角ということです。
10年前のエアコンは損、新しい霧ヶ峰なら得
前のエアコンの実際の効率は、明細から逆算できます。
エアコン中心だった2023年の冬と、ファンヒーター中心に替えた2024年の冬。1〜2月の使用量を比べると、電気は1,060kWhから735kWhへ325kWh減。ガスは90㎥から136㎥へ46㎥増えました。
増えたガス46㎥は、熱にして約575kWh。部屋の暖かさが同じなら、この熱は以前、エアコンが325kWhの電気で作っていたことになります。
つまり真冬の実働は、575÷325でCOP約1.8。カタログのCOPは3.4なので、半分近くまで落ちていた計算です。落ちた分には、10年の経年だけでなく、真冬の低温や霜取りの影響も混ざっています。ざっくりした逆算ですが、わが家の損得の分かれ目であるCOP2.7には届いていませんでした。ファンヒーターに替えて安くなったのは、これで説明がつきます。
もし、エアコンが効率の良い新型だったらどうでしょうか。
今年買い替えた、三菱の霧ヶ峰(MSZ-ZW7125S・23畳用)は、カタログのCOPが3.8。カタログのスペックを信じると、月197kWhの電気で済みます(750kWh÷3.8)。電気代に換算すると月5,600円です。今度はエアコンの方がガスより月2,400円安い計算です。
ただしCOPは、真冬の早朝や霜取り運転で落ちます。カタログのCOPより3割落ちると、ファンヒーターと光熱費は同じになります。この冬の明細で確かめます。
電気 vs ガス わが家の判定式(=記事の核心)
ここまで記事を書いてきて、気づきました。
損得の判定は、たった1つの式にまとまります。
必要なのは、電気とガスの単価だけ。
分かれ目COP = 電気単価 ÷ ガスの熱単価
分かれ目COP < エアコンのCOP → エアコン有利
分かれ目COP > エアコンのCOP → ガスファンヒーター有利
うちの数字を代入すると、こうなります。
・電気単価(3段)=28.6円/kWh
・ガスの熱単価=ガス単価126円/㎥ ÷ 12.5(1㎥分の熱量kWh)= 約10円/kWh
・28.6円 ÷ 10円 = 2.8前後 = 分かれ目
エアコンの実働COPの影響のほうがずっと大きいので、この式はざっくりで十分です。COPが分かれ目の付近なら、概ねトントン。大きくずれるようなら、ずれた側がはっきり有利に傾きます。
前のエアコンは実働COP1.8で、分かれ目をはっきり下回るのでファンヒーターの勝ち。新しい霧ヶ峰はカタログCOP3.8で、はっきり上回るのでカタログどおりならエアコンの勝ち。この記事の計算は、すべてこの式に集約されます。
前の章で実績から計算した分かれ目は2.7、この章のかんたんな式では2.8。差はわずか0.1です。ざっくりの式でも、意外なほど使えます。
プロパンガスの家は、自分のガス単価を式に入れて確認を。熱単価が高いぶん、エアコン有利に傾きやすくなります。
うちがガスファンヒーターを使い続ける理由

正直に書くと、うちのガスファンヒーター(リンナイのRC-L4002E-1)は、新築のときに都市ガスの会社からもらったものです。自分で選んで買った経験はありません。しかし、暖房をガスファンヒーターに変えてから、使い勝手の良さに気づきました。
- すぐ暖まる:スイッチを入れて数秒で温風が出ます。エアコンの立ち上がりを待つ寒さがありません。
- 効率を気にしなくていい:構造が単純で、燃やした熱がほぼそのまま部屋に入ります。うちの旧エアコンのような効率の目減りとは無縁です。
- 灯油の手間がない:石油ファンヒーターと違って、給油も灯油の買い出しも不要。シーズン終わりの片付けは、ホースを外すだけです。
- 本体が安い:暖房の主役級では最安クラス。うちのように、ガス会社からもらえることすらあります。
この記事を読んで、「押し入れのファンヒーターをまた使おうかな」と思った方へ。リンナイの公式サイトによると、ガスファンヒーターの設計上の標準使用期間は10年。過ぎたら点検か、取り替えの検討をすすめています。しばらく眠っていた機器は、見た目では状態が分かりません。10年を超えているなら、私は買い替えから考えます。
買うときの注意は2つだけ。都市ガス用(12A・13A)とプロパンガス用(LPガス)は別の製品なので、ガスの種類を検針票で確認。あとは、使う部屋にガス栓があることです。
いま自分で買い直すなら、うちのと同じスタンダードなタイプのこれを選びます。
まとめ:節電するなら3段料金を狙う
冬の暖房代は、3段料金が犯人でした。
もしあなたの家の電気代が3段料金に突入しているなら、闇雲に節電するより、暖房をガスファンヒーターに替える方が、光熱費は下がりやすくなります。
ポイントをまとめます。
- 電気は使うほど単価が上がり、ガスは使うほど単価が下がる
- 3段料金は単価が1段目の135%と割高
- 暖房をガスファンヒーターに替えたら、光熱費が1〜2月の2ヶ月で約3,800円下がった
- エアコンのCOP(効率)が高ければ、ガスよりエアコン暖房の方が安くなる
最も重要なポイントは2つです。電気が月300kWhを超えている。エアコンのCOPが低い(わが家の場合2.7以下)。この2つが揃うと、ガスファンヒーターが有利です。
残る宿題は、今年買い替えたエアコンのCOPです。カタログ通りなら、エアコン暖房に戻すつもりです。この冬の明細で確かめて、この記事に追記していきます。
ちなみにうちのエアコンは、今年買い替えたばかりです。買い替えの背景にあった「エアコンの2027年問題」は、別の記事に書きました。
